魔のバミューダ海域の謎  原因はメタンハイドレート?

ナショナルジオグラフィックのWebサイトを見ていたら、興味深い記事を見つけた。それは、
「魔のバミューダ海域、原因はメタンハイドレートか」
と題する記事だ。

バミューダトライアングルといえば、船や飛行機が突然消息を断つ事件が相次ぐという伝説で知られている海域だ。そしてその伝説を基にして、多くの小説や映画などが制作されている。
その発端となったのは、今から70年ほど前にフロリダを飛び立ったアメリカ海軍機5機が突然消息を絶った事件だ。そしてバミューダトライアングルが「魔の三角海域」として世界中の人々に知れ渡ったのは、アメリカの作家で超常現象研究家のチャールズ・ベルリッツの著書『The Bermuda Triangle(邦題:謎のバミューダ海域)』がベストセラーとなったことだと言われている。しかし、彼が書いた事件の多くは、事実誤認・歪曲・誇張・創作によるものという批判もある。他にも様々な説が唱えられ、それらの説が繰り返し出版・報道されることで、魔の海域の怪事件として多くの人の記憶に刻まれ、伝説と化していった。

ところで、バミューダトライアングルはどこにあるかというと、アメリカ・フロリダ半島の先端にあるマイアミと、バミューダ諸島、プエルトリコを結んだ三角形の海域だが、そもそもそんな魔のトライアングルなんて存在しないと、存在自体を否定する専門家も多いという。

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バミューダトライアングルの位置 [Wikipediaより]

というのも、米海軍史財団の歴史家ジョン・ライリーによると、この海域は交通量がとても多く、ヨーロッパ諸国による開拓時代の初期から船が頻繁に行き交う場所で、そこで多くの船や飛行機が消息不明になっているということは、大都市の高速道路で交通事故が多発しているといっているようなもので、驚くほどのことではないという。実際に、バミューダトライアングルで船や飛行機が消息不明になる確率を計算してみると、他と変わりないという。ならば、ブラックホールやUFO、何かの大爆発など突拍子も無いものを持ち出さなくても、遭難した船や飛行機は悪天候(この海域はハリケーンや霧の多発地帯として有名だ)に遭遇したり、操作ミスや計器の見間違いなどによるものと考える方が自然だ。

さて、ナショナルジオグラフィックの記事によると、このバミューダトライアングルの謎の原因として浮上してきているものがある。それはメタンハイドレートだ。メタンハイドレート(methane hydrate)は低温かつ高圧の条件下でメタン分子(CH4)が水分子(H2O)に囲まれた構造をした固体で、「燃える氷」と呼ばれる化石燃料の一種だ。

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メタンハイドレートの分子構造 [アメリカ地質調査所のサイトより]

日本近海は世界有数のメタンハイドレート埋蔵量を持つとされ、商業化に向けて開発が進められている。メタンは燃焼時の二酸化炭素排出量が石油や石炭に比べて格段に少なく(およそ半分)、地球温暖化対策として有効なエネルギー源とされているが、その一方で、大気中のメタンは二酸化炭素の20倍以上の温室効果があると言われていて、メタンハイドレート開発によって発生するメタンのうち回収しきれずに大気中に放出されるメタンが気候変動に大きな影響をもたらす可能性があると指摘されている。したがって、日本にとっては期待のエネルギー源ではあるが、扱いが難しいのではという気がする。

このメタンハイドレートがバミューダトライアングルの謎の原因とする説自体は、これまでにも一部の研究者が唱えているようだが、今回の記事で注目されたきっかけとなったのは、北欧ノルウェー沖のバレンツ海で、天然ガスの爆発でできたと考えられる複数の巨大クレーターが見つかったことだ。発表したのはノルウェー北極大学の研究チームで、クレーターの大きさは、最大のもので直径800m、深さは45m。海底の堆積物に閉じ込められていた天然ガスのメタンが爆発したことによってできたと考えられているのだ。

海底に閉じ込められているメタンハイドレートが壊れたり爆発したりして急激にガスが放出されると、石油の掘削をしている作業員に危険が及ぶこともあり、関係者の間では「死のげっぷ」と呼ばれている。

記事によると、研究チームはこのような急激なガスの放出は船舶にも危険であるとし、バミューダトライアングルでの船や飛行機が行方不明になる現象も、これが原因の可能性もあると指摘しているようだ。
実験では、この「げっぷ」が船の浮力や飛行機のエンジンに影響を及ぼす恐れがあると示唆されているが、現実には様々な要因が絡んでくるので、実際にどのくらいの影響があるかは定かではないという。現時点ではまだ推測の域をでていないのだ。いずれ明らかになるのかな?



船が沈没したり飛行機が墜落する原因として次のことが考えられる。
(1) メタンの泡が瞬時に大量に発生することによって船の浮力が失われ(海水とは密度が異なるので)、船が沈没する。
(2) エンジンが大量にメタンを吸い込むことで酸欠状態となり、不完全燃焼をおこして出力が低下する。それによって揚力を失い墜落する。



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ナショナルジオグラフィック:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/031700097/

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