上原ひろみのライブ "SAVE LIVE MUSIC FINAL" at 東京国際フォーラム

先週の土曜日、待ちに待った上原ひろみのライブに行ってきた(先週のことをなぜ今頃書いているのかというと、ツアーがまだ続いていたので、終了するのを待っていたためだ)。

「JAPAN TOUR 2022 “SAVE LIVE MUSIC FINAL”」と銘打ったこのライブは、コロナ禍の中、ライブ活動もままなならないミュージシャンをはじめとする音楽関係者のために、上原ひろみがブルーノート東京で開催してきたプロジェクト “SAVE LIVE MUSIC” の集大成とも言える日本ツアーだ。僕が今回行ってきた東京公演の会場は、丸の内にある東京国際フォーラムのホールAだ。前にここでライブを観たのはコロナ禍前なので、本当に久しぶりだった。

IMG_1070.jpg会場入口近くに飾られた花束

IMG_1071.jpg会場内のモニター画面

IMG_1086.jpgチラシとパンフレット


ライブは2部構成になっていて、前半は矢野顕子とのコラボ(彼女ら二人のコラボライブを収録したCDは持っているが、実際に観るのは初めてだ)、後半は彼女のピアノ+ストリング・カルテットの”ピアノ・クインテット”でのライブだ。

第1部は上原ひろみ×矢野顕子のコラボ。
・オープニングは「ラーメン食べたい」だ。矢野顕子といえばこの曲を思い浮かべてしまう。
・次は「Dreamer」。この曲は “The Trio Project" 時代のアルバム『Alive』に収録されている曲に日本語の歌詞をつけたものだ。このように上原ひろみの楽曲に歌詞をつけた歌は初めて聴いた(この時はそう思ったが、後でよくよく調べてみたら、二人のコラボライブCD『ラーメンな女たち』にも収録されていた)。
・そして外国の歌と日本の歌を合体させた曲が続く。
最初は「こんこんスリーブス」。これは「雪」と「Green Sleeves」をつなげたもの。次は「りんご祭り」。こちらは「Don’t Sit Under The Apple Tree」と「リンゴの唄」をつなげたもの。このように外国の歌と日本の歌を合体させた曲は、二人のコラボライブCDにもいくつか収録されている。
それにしても歌の部分だけを聴けばなんとなくわかるが、それ以外は曲の原型がわからないほどにデフォルメされていて、最後には別世界に連れて行かれている感じだ。
・最後は「飛ばしていくよ」。これも二人のコラボライブCD『ラーメンな女たち』にも収録されている。二人でピアノを弾き、矢野顕子が歌っているうちに、彼女たちは飛ばして、飛ばして、どんどん飛ばしていく、そのスピード感がたまらない。

第2部は上原ひろみ The Piano Quintet によるライブ。メンバーは彼女(piano)の他に、西江辰郎(1st violin)、ビルマン聰平(2nd violin)、中恵菜(viola)、そして”大盛り”向井航(cello)だ。
・第2部のオープニングはイントロのヴァイオリンが印象的なアルバム『Silver Lining Suite』から4つの楽曲からなる組曲「Silver Lining Suite 〜 Isolation/The Unknown/Drifters/Fortitude」。「Silver Lining Suite」は全部を通して聴くと30分以上ある(アルバムでの計測では)長尺の楽曲だが、ライブ演奏を聴いていると時間が経つのを忘れてしまう。
・次は「Jumpstart」。これはアップテンポの明るい楽曲だ。
・そして最後は「Move」。これはアンソニー・ジャクソンとサイモン・フィリップとのトリオ “The Trio Project” としての2枚目のアルバム『Move』に収録されているアルバム・タイトル曲。今回も同じ『Move』に収録されている(『Silver Lining Suite』にも収録されている)「11:49PM」をやるのかなと漠然と想像していたが、まさかこの曲をピアノ・クインテットでやるとは、思いもよらなかった。完全に裏をかかれたという思いと同時に、新たな感動を覚えた。
「Move」の演奏が終わると、会場はスタンディング・オベイションで応えた。

アンコールの1曲目はピアノ・クインテット+矢野顕子による「Moonlight Sunshine」、2曲目はピアノ・クインテットによる「Libera Del Duero」。
上原ひろみが1stバイオリンの西江辰郎に「即興はできる?」と聴いた時、彼の答えは、できるでも、できないでもなく、「やってみたい!」だったそうだ。その言葉通り、「Libera Del Duero」では西江のダイナミックな即興演奏を披露してくれた。西江だけでなく、ビルマン聰平、中恵菜、向井航もそれぞれのソロで素晴らしいパドーマンスを見せてくれた。演奏が終わると会場はまたもや盛大な拍手の嵐とスタンディング・オベイションだ。サッカー日本代表の長友ではないけど、『Brabo!』と叫びたかった。

ピアノ・クインテットのライブは去年の年末に日本ツアーのライブ(会場は渋谷のオーチャードホール)に行って以来だが、今回のライブはさらにパワーアップした圧巻のパフォーマンスで、まさに”異次元”のライブだった。

※ セットリストはネットで検索して調べたが、後は記憶に頼っているので、記憶違いがあるかもしれない。あしからず。

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