ジャズ/フュージョンギタリスト、アル・ディ・メオラの1983年リリースのアルバム - Scenario

◆ Al Di Meola - Scenario


ジャズ/フュージョン・ギタリスト、アル・ディ・メオラの1983年にリリースされたアルバム。昔のアルバムで持っていないものを買おう・ジャズ/フュージョン編(と、勝手に呼んでいるが)として、今回はこのアルバム(1991年リマスター盤)を買うことにした。

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アル・ディ・メオラといえば、速弾きに代表されるような”神業的な”超絶技巧で知られるギタリストで、かつてはチック・コリア(Chick Corea)率いるリターン・トゥ・フォーエバー(Return To Foever: RTF)に参加していたことや、アメリカの音楽雑誌『Guitar Player』誌で「最も優れたジャズ・ギタリスト」に4回選ばれていることでも知られる。

今回のアルバムでは、チェコスロバキア出身のキーボード奏者、ヤン・ハマー(Jan Hammer)を迎えてのコラボ作品になっていて、さらに、ベーシストとしてトニー・レヴィン(Tony Levin)、ドラマーはビル・ブルーフォード(Bill Bruford [注]: 元イエス&キング・クリムゾン)とフィル・コリンズ(Phil Collins: 元ジェネシス)が参加している。

インド風な雰囲気を醸し出している(?、シタールのような音を出しているので、そう感じるのかもしれなが)「Mata Hari」に始まり、アフリカ音楽のような雰囲気の「Africann Night」(まぁ、これも、タイトルと太鼓の音と鳥の鳴き声のようなのが聴こえるので、アフリカのジャングルの中にいるように感じるのだろうが)と続くこの作品は、全体的にアルのギターとハマーのシンセサイザーによる多重録音、打ち込み主体によるプログレ風の、これまでとは違った内容になっていている(曲によってアルはエレクトリックとアコースティックを使い分けているし、ハマーもシンセだけでなく、ピアノも使っている)。アルの超絶技巧の速弾きギター満載という内容を期待していると、肩透かしを食らわされた感じがするかもしれない。それでも、9曲目の「Scoundrel」ではこれぞアルというギターを聴かせてくれている。さらに、5曲目の「Sequencer」の全体にわたってバックで聴こえるハマーのシンセのフレーズは、ジェフ・ベック(Jeff Beck)の1980年にリリースされた『There and Back』のオープニング曲「Star Cycle」を彷彿させるのも興味深い(まぁ、これもヤン・ハマーのシンセによるものなので、彼お得意のフレーズなのかもしれない)。

それまでのアルの音楽とは異なった内容のこのアルバムは、彼の音楽の幅を広げた作品と言えるのかもしれない。ただし、個人的には、この作品の良さを理解するには、何回も聴き込まないといけないと感じている。



[注] Bill Bruford の日本語表記は、長らく「ビル・ブラッフォード」と誤った表記がなされてきたが(僕もずっと「ビル・ブラッフォード」と思ってきた)、本人が表記の修正を強く希望してきたこともあり、最近では「ビル・ブルーフォード」(ただし、発音上は「ビル・ブルフォード」の方が適切とする意見もあるようだ)と表記されてきているようだ(Wikipediaより)。なので、ここでは「ビル・ブルーフォード」と表記することにした。

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